パンヌス形成によっても機械弁開閉制限をきたさなかった僧帽弁置換術後僧帽弁再狭窄症の1例

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  • A case of mitral stenosis relapse after mitral valve replacement showing no restriction in mechanical valve leaflet movement despite the pannus formation

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抄録

症例は,72歳,男性.僧帽弁狭窄症(mitral stenosis;MS)に対し41歳時に直視下交連切開術,63歳時に大動脈弁閉鎖不全症,およびMSに対し2弁置換術(大動脈弁:ATS弁23mm,僧帽弁:Edwards-TEKNA弁27mm)を施行された.術後8年目の心エコー検査では僧帽弁弁口面積は1.0cm2と狭小化を認めたが,心不全症状を認めなかったため経過観察されていた.72歳時,外来受診時に貧血の進行,LDH上昇,胸水貯留を認めたため入院.精査にて僧帽弁人工弁開閉制限は認めなかったが,心エコー検査所見で有効弁口面積のさらなる狭小化(僧帽弁再狭窄症),僧帽弁輪からのperivalvular leakを診断された.貧血の原因はperivalvular leakによる溶血と考えられた.入院中,歯肉出血をきたし,その後に敗血症性ショックを合併した.感染調節後にCarpentier- Edwards perimount弁25mmを用い,僧帽弁再置換術を施行した.手術所見は左房側にのみドーム状で機械弁の動きを制限しない特異的形態のパンヌスを認め,4時方向の僧帽弁輪にperivalvular leakをきたしていたと考えられるゾンデ挿入可能な部位を認めた.術後回復に時間を要したが,心不全や貧血は改善し独歩退院された.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 44 (12), 1516-1519, 2012

    公益財団法人 日本心臓財団

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