尿路感染症を契機に感染性心内膜炎,化膿性脊椎炎を発症した1例

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タイトル別名
  • A case of infective endocarditis and vertebral osteomyelitis resulting from urinary tract infection

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抄録

症例は84歳,女性.2008年4中旬に食欲不振,全身倦怠感が出現し起立困難となり当院へ救急搬送された.尿路感染症と診断し,抗生物質を開始したところ,5月中旬には解熱し,炎症反応は陰性化した.しかし,5月末に高熱が出現し,右背部〜腰部痛が出現し,C反応性蛋白 (C-reactive protein;CRP)値の再上昇と心電図で広範囲に陰性T波の出現を認めた.腹部造影CT検査で脾梗塞および傍脊柱管膿瘍の所見を,腰椎MRI検査で第2,3腰椎に化膿性脊椎炎の所見を認めた.経過中,意欲減退,全身脱力が出現したため頭部MRI検査を施行したところ,左頭頂葉に急性期脳梗塞の所見を認めた.血液培養でEnterococcus faeciumが検出され,経胸壁心エコー検査で僧帽弁前尖に疣腫を認め,感染性心内膜炎と診断した.本症例は,化膿性脊椎炎により感染性心内膜炎を発症し,感染性心内膜炎の敗血症性塞栓として脳梗塞,脾梗塞が発症したものと考えられた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 44 (12), 1535-1542, 2012

    公益財団法人 日本心臓財団

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