慢性活動性EB ウイルス感染症の病態と治療

  • 澤田 明久
    大阪府立母子保健総合医療センター 血液・腫瘍科
  • 井上 雅美
    大阪府立母子保健総合医療センター 血液・腫瘍科

書誌事項

タイトル別名
  • Pathology and treatment of chronic active Epstein-Barr virus infection

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抄録

1964年にEpstein-Barr virus(EBV)が発見されて半世紀が経った。慢性活動性EBV 感染症(chronic active EBV infection; CAEBV) は「EBV 関連T/NK細胞リンパ増殖症(EBV-associated T- or NK-cell lymphoproliferative diseases; EBV+T/NK細胞LPDs)」のひとつで,かつ典型的疾患である。診断は「Okanoらの診断ガイドライン(2005年)」に従う。確定診断にEBV+T/NK細胞の増殖(実際的にはEBV 量の高値とT/NK細胞への感染)を証明する必要がある。しかし,末梢血を用いる検査はいまだ保険未収載であり,病変組織の生検は侵襲を伴う。急変するリスクがあり,診断がつけば免疫化学療法により症状の鎮静化を図りつつ,同種hematopoietic stem cell transplantation(HSCT)の準備を併行して進めることが肝要である。多剤併用化学療法,同種HSCTと治療を進める中で,十分な症状のコントロールが得られない場合には躊躇なく緊急移植に踏み切る。前処置はreduced-intensity conditioningがよい。移植成績は骨髄移植と臍帯血移植で差はなく,全生存率>90%と良好であり,成人例(~40 歳)の場合も小児と同様の治療戦略で遜色ない成績が得られつつある。

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参考文献 (34)*注記

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