左室心筋緻密化障害および肥大型心筋症様の所見を示したのちhistiocytoid cardiomyopathyと病理診断されたミトコンドリア病の1例

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  • An Infant with Mitochondrial Disease Associated with Histologically Proved Histiocytoid Cardiomyopathy Characterized by Transient Left Ventricular Non-Compaction and Hypertrophic Cardiomyopathy

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抄録

Histiocytoid cardiomyopathy(hcCMP)と病理診断されたミトコンドリア病症例について報告する.症例は,small for gestational age児として出生した女児である.出生時より哺乳不良,血中乳酸高値が遷延した.出生時には心収縮力は正常だったが,徐々に啼泣時に低下するようになり,拡張障害も呈するようになった.心エコーでは当初左室心筋緻密化障害(LVNC)様の所見を認めたが,その後肥大型心筋症(HCM)様の所見が目立つようになっていった.生後4ヵ月時に脳症を発症し,多臓器の障害および血中および髄液中乳酸/ピルビン酸比が高値であったことからミトコンドリア病を疑った.コエンザイムQ10,ビタミンB,C,E,カルニチンを投与したが,生後6ヵ月時に意識障害を伴う著明なアシドーシスを来した.治療に反応せず,多臓器不全が進行し,生後7ヵ月時に永眠した.心臓の剖検所見では,肉眼的には著明な心筋肥大,黄色調領域,肉柱形成を,顕微鏡的には組織球様細胞や膨化したミトコンドリア,クリスタの減少を認め,hcCMPと診断した.組織のミトコンドリア呼吸鎖複合体酵素活性測定では,肝臓,骨格筋でComplexⅠの,心筋でComplexⅠとⅣの低下を認めた.Bernierらによるミトコンドリア呼吸鎖異常症の診断基準に基づき,ミトコンドリア病と確定診断した.心エコー所見でLVNCからHCMの移行のため診断が困難だった症例で,病理組織学的にhcCMPと診断することができた.確定診断にはミトコンドリア呼吸鎖酵素活性の測定を中心とした生化学的検査および罹患臓器の病理組織学的検査が有用であった.

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