鉄(III)の酒石酸錯イオンのポーラログラフィー

書誌事項

タイトル別名
  • Polarographic Study of Iron(III) Tartarate Complex Ions

抄録

酒石酸溶液申において,-0.1Vvs.SCE付近の比較的陽電位に半波電位をもつFe3+の還元波が,アルカリ性溶液中では-1.0V付近に半波電位が移行することは,ヒドロクソ錯イオンが生成するためとされている。しかしながら,酸性で安定な錯イオンからアルカリ性で安定な錯イオンへ移行する機構,各錯イオンの還元機構などについては従来ほとんど明らかにされていない。以上の諸点を明らかにするため,pH4.8~14の範囲で0.5mol/lの酒石酸溶液中におけるFe3+の交直両ポーラログラムを検討した。近接する2波の分離解析には直流ポーラログラムのΔ2i-E曲線を用いた。実験結果から,酸性でカルボキシル基により鉄に配位する酒石酸が,水酸イオンにより置換きれ,アルカリ性ではカルボキシル基と水酸基とによって鉄に配位し安定な錯イオンが形成されること,還元に際しては配位子の一部が錯イオンから解離することなどが明らかにされた。

収録刊行物

  • 日本化學雜誌

    日本化學雜誌 83 (6), 684-693,A43, 1962

    The Chemical Society of Japan

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