トチノキの花粉の形成, 形態および発芽

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タイトル別名
  • Formation, morphology, and germination of pollens in <I>Aesculus turbinata</I> Blume.
  • トチノキ ノ カフン ノ ケイセイ ケイタイ オヨビ ハツガ

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抄録

トチノキの生殖機構の解明を目的として, 花粉の形成, 花粉粒の発達と形態, 花粉の発芽機構などについての研究を行った。トチノキでは4月の終わりから5月上旬に花芽の芽鱗が開き, 花序が外側に現れると間もなく商の中の花粉母細胞の減数分裂が始まり, 四分子が形成された。減数分裂の期間は短く, 1週間程度であった。花粉母細胞の減数分裂は前減数型で, 第一分裂で染色体数が半減した。減数分裂における染色体の異常行動, 細胞分裂の異常などは観察されなかった。四分子から分離した未熟花粉は急速に成長し, 成熟花粉の約80~85%の大きさになったときに細胞分裂を行い, 各1個の栄養核と生殖核が形成された。飛散期の花粉は二核性花粉である。成熟花粉は長球状, 三溝孔型で, 長い発芽溝が三つあり, その中央に先の尖った短刺状突起を持った円形の発芽孔が存在した。また花粉粒の内壁に花粉管の原基が認められた。花粉を人工発芽床にまき付けると, 数分で花粉管が発芽孔を破って伸長した。花粉の発芽開始が早い理由は, 花粉粒の内壁に花粉管の原基がすでに形成されているためであることがわかった。

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参考文献 (21)*注記

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