死因疾患からみた代謝性疾患と精神神経疾患患者の出生季節

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  • Birth Season of Patients in Some Metabolic, Mental or Neurological Disorders

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抄録

代謝性疾患と精神神経疾患の一部に対する出生季節の影響を調べるために, 1979年~1985年の7年間の死亡届けのデータから, 第9回修正国際疾病分類 (ICD9) の基本分類番号で270~359に分類される疾患の一部を抽出し, その人数の出生月分布を調べた.患者出生年代の一般出生の月別変動から, 月別の患者期待数を求め, それに対する患者実数の比によって, 男女別に偏りを検討した.血漿蛋白代謝障害 (ICD: 273) , 筋ジストロフィーおよびその他のミオパシー (ICD: 359) で, 男女共通して初夏の生まれの患者が多く, さらに, 初夏生まれの患者が山をつくる傾向は, その他の分類 (脂質代謝障害ICD: 272女性; 炎症性および中毒性ニューロパシーICD: 357男性; 動脈硬化性痴呆ICD: 290.4男女; 体液, 電解質および酸塩基平衡障害ICD: 276女性; 大発作持続状態のてんかんICD: 345.3女性; 詳細不明のてんかんICD: 345.9男性; 中枢神経系のその他の脱髄疾患ICD: 341男性) でも, しばしば認められた.アルコール依存症 (ICD: 303, 男女) や細菌性髄膜炎 (ICD: 320, 男性) では, 年の後半に生まれた患者が多くなっていた.また, 男性のパーキンソン病による振戦麻痺 (ICD: 332.0) と女性の運動ニューロン疾患 (ICD: 335.2) とが, 11~12月生まれに少ないという似た傾向をもっていた.ある疾患に患者の出生季節による偏りがあれば, それは, 出生前後の環境要因の影響によって生じている可能性を示唆する.出生季節差が示唆された疾患について, 具体的な要因の検討が必要と考えられた.

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