純血種犬に認められた糞線虫(<I>Strongyloides stercoralis</I>)

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タイトル別名
  • <I>Strongyloides stercoralis</I>(Nematoda; Strongyloididae) Obtained from Purebred Dogs in Japan
  • 純血種犬に認められた糞線虫(Strongyloides stercoralis)
  • ジュンケツシュ イヌ ニ ミトメラレタ フンセンチュウ Strongyloid
  • Strongyloides stercoralis(Nematoda; Strongyloididae) Obtained from Purebred Dogs in Japan

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抄録

1984年8月から1985年12月の期間に室内飼育の純血種犬に認められたStrongyloides属糞線虫について観察を行った. 寄生犬は, パピヨン1頭 (No.1), ヨークシャーテリア3頭 (Nos.2, 3, 5), ミニチュアダックスフント1頭 (No.4), マルチーズ1頭 (No.6) の計6頭で, 下痢や発育不良を主訴としていた. これらの犬の糞便中には, R型の幼虫が排出されており, さらに, 犬No.2においては寄生世代雌虫の排出も認められた. 各例について糞便の濾紙培養を行ったところ, F型幼虫ならびにR型の雌虫と雄虫が得られた. また, 犬No.5に由来するF型幼虫を用いて3頭の犬に対して感染実験を行った結果, 2頭に感染が成立し, 寄生世代雌虫が採取された. なお, この際のprepatent periodは14日と20日であり, 供試犬の糞便にはR型幼虫が認められた. 今回認められた糞線虫は, No.2とNo.5の犬から得たものについては, その寄生世代雌虫や糞便中への排出発育期などから, Strongyloides stercoralisと同定した. また, その他の犬におけるものも, 宿主の糞便中へR型幼虫が排出されることなどから, おそらくはS.stercoralisであろうと考えられる. したがって, わが国においては, 一般に飼育されている雑種犬ではS. planicepsの方が多く認められるのに対して, 純血種犬では, S. stercmlisが普通であり, いわゆる“kennel disease”的な性格が強いものと考えられる.

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