犬の先天性膣端閉鎖による膣拡張症の2例

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タイトル別名
  • Two Canine Cases of Vaginal Dilatation due to Gynatresia Congenitalis
  • イヌ ノ センテンセイ チツタン ヘイサ ニ ヨル チツカクチョウショウ ノ

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抄録

腹囲の膨大と排尿排便障害を主訴とする犬の先天性膣端閉鎖に伴う膣の拡張症の2例を経験した.1例は6年7ヵ月齢の未経産のシーズ種で, 諸検査と試験的開腹の結果から膣-膣前庭癒合不全または形成不全による膣閉鎖に伴う膣拡張症と診断された.本例は膣腔に乳白色の希薄水様液約2lを入れており, 子宮は軽度の嚢胞状肥厚を示していたが, いずれの内容物も菌検査の結果は陰性であった.また, 卵巣には機能的黄体が存在していた.卵巣, 子宮ならびに膣の摘出により治癒したが, 術後2カ月にわたって腎障害が持続し, 治療の結果回復した.他の1例は6年3カ月齢の未経産犬の雑種で, 諸検査および試験的開腹所見から処女膜全遺残による処女膜閉鎖に伴う膣拡張症と診断された.本例は幼若時に不妊手術を受けていたが, 一側の卵巣が遺残しており, 発情回帰とともに子宮切断端や膣内に発情出血や分泌物が貯留したものと推定された.膣内には約1lの黄白色粘稠な液が貯留していた.本例も当該組織の摘除によって治癒した.

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