小児てんかんの治療法の再検討と新開発の試み

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抄録

てんかんは,古来「神聖病」とも,悪魔にとりつかれた業病ともみなされ,神秘のベールに包まれていたが,医学の進歩によって,てんかんに関する科学的理解は著しく深まった.とくに,近年の研究によれぽ,てんかんの大部分は小児期に発病することが認識されるようになり,てんかんの医療において小児神経科医が果すべき役割は,極めて大きい.近年におけるてんかん学の進歩は,抗てんかん薬による薬物療法を中心とした治療法の研究領域において顕著である.てんかんは,かつて考えられたように不治の病ではなく,コントロール可能な疾患と目されるようになった.十指にあまる抗てんかん剤が,本邦の市場に出され,大量に消費されつついる.しかし,現在の日本のてんかん患児は,どのような治療成績を享受しているのだろうか.現状は果して満足すべきか,あるいは悲観すべき状態なのか.治療による長期予後がまだ明らかでないように思われる.そこで,われわれは,当東京女子医大小児科における小児てんかんの診療の実態と治療成績の分析を行なうとともに,抗てんかん剤血中濃度測定を中心とした臨床薬理学的見地から現行投薬法を見直し,さらに難治性てんかんに対するより優れた新療法の開発を目指していくつかの試みを行なったので報告する.

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 10 (2), 94-116, 1978

    THE JAPANESE SOCIETY OF CHILD NEUROLOGY

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204553757952
  • NII論文ID
    130004067793
  • DOI
    10.11251/ojjscn1969.10.94
  • ISSN
    18847668
    00290831
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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