Yersinia enterocoliticaの接合による薬剤耐性の伝達について

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タイトル別名
  • TRANSMISSION OF DRUG-RESISTANCE THROUGH CONJUGATION IN YERSINIA ENTEROCOLITICA
  • Yersinia enterocolitica ノ セツゴウ ニ ヨル ヤクザイ タイセイ ノ デンタツ ニ ツイテ

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抄録

Yersinia enterocoliticaは, 多彩な臨床症状を伴なう腸管感染症として, 最近注目をあびている. 本菌の検査法が一般化されるにつれて, その臨床例は今後さらに増加するものと推定される. Escherichia coli, Shigella, Salmonellaなどの腸内細菌の薬剤耐性は, その多くが伝達性のR因子によることが明らかにされている. したがつて, Y. enterocoliticaについても, その薬剤耐性がR因子によつて支配される可能性があるかを検討することは, 細菌学的にも臨床的にも, きわめて有意と考えられる. GINOZA1) (1963) は, E. coliからYersinia (Pasteurella) pestis, またはYersinia (Pasteurella) pseudotuberculosisへR因子によつて耐性が伝達されることを明らかにしたが, Y. enterocoliticaについての報告はみられなかつた. 金沢2, 3)らはこの点について検討し, R因子保有E. coliからY. enterocoliticaに多剤耐性が伝達し, また耐性化したY. enterocoliticaから2次伝達で感性E. coliに耐性が伝達し, したがつて, Y. enterocoliticaもR因子宿主菌となりうることを報告した. ついで水野4)らも, 多剤耐性Salmonella, ShigellaからR因子がY. enterocoliticaへ伝達することを報告した. 著者らは, 前記実験の成績に加えて, さらに自然界分離のY. enterocolitica薬剤耐性に対するR因子の関与についても, 2~3の検討をおこなつたので報告する.

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