症例 大動脈弁狭窄症および冠動脈疾患を合併し単一II音を示した2次口心房中隔欠損症の1例

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タイトル別名
  • A case of secundum atrial septal defect combined with aortic stenosis and coronary artery disease showing the single second heart sound

抄録

今回我々は,心房中隔欠損症(ASD)に大動脈弁狭窄症(AS)および冠状動脈疾患(CAD)を合併し単一II音を示した1例を経験した.症例は63歳女性,心雑音および心不全の精査加療のため昭和61年8月22日当科入院.身体所見では,心濁音界の拡大,胸骨右縁第2肋間にLevine IV度の収縮期雑音,肝腫大,下腿浮腫を認めた.胸部X線では心胸郭比68%で,右室拡大を認め,心電図では両室肥大の所見を示した.心音図でII音は呼吸にて単一で,頸動脈波では,この単一II音に対応してdicroticnotchを認めた.Mモード心エコー図では大動脈弁口は7mmで,弁の閉鎖と心音図上の単一II音に対応関係を認めたが,肺動脈弁閉鎖は同定困難であった.ドプラ断層図では2次口心房中隔欠損を介する左右短絡血流シグナルを認めた.心臓カテーテル検査では,肺動脈圧軽度上昇(54/16[平均29]mm-Hg),心房間の中等度左右短絡(肺体血流比3.1)および右冠動脈中部の閉塞を認めた.昭和62年2月23日,ASD閉鎖術,大動脈弁置換術およびA-Cバイパス術を施行した.術前左室大動脈間の圧較差は17mmHgであった.大動脈弁の可動性が保たれていること,軽度の肺高血圧の存在からIIa,IIpはともに単一II音の成分と考えたが,この原因としてASDによるII音の固定性分裂に,ASによる左室駆出期延長によるIIaの遅れと肺高血圧によるIIpの早期発生が加わってII音の単一化を生じたと推察した.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 20 (8), 951-955, 1988

    Japan Heart Foundation

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680463540096
  • NII論文ID
    130004135579
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.20.8_951
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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