研究 僧帽弁および肺静脈血流の同時測定による左房容積変化-時間曲線の推定.

書誌事項

タイトル別名
  • Estimation of left atrial volume change by left atrial inflow (pulmonic venous flow) and left atrial outflow (mitral valvular flow) measurements. Quantitative evaluation of left atrial reservoir, conduit, and boosterpump function.
  • 左房リザーバー,導管,ブースターポンプ機能の定量的評価.

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抄録

左房容積変化計測法は確立されていないため,そのリザーバー,導管,ブースターポンプとしての役割を定量的に評価することは困難であった.我々は雑種成犬7頭を対象として,左房入口である肺静脈左房出口である僧帽弁の血流量を連続的に計測し,出入りの差により左房容積変化を推定した.得られた左房容積変化曲線は,左室急速流入期には左房圧減少を伴う左房容積減少を呈した.心房収縮期には左房圧増加を伴う左房容積減少を呈した.前者を左房リザーバーより左室への血液放出と考え,一心拍左室流入血液量に占めるその時の左房容積減少の比を%Rとして左房リザーバー機能の指標とした. 同様に一心拍左室流入血液量に占める心房収縮期の左房容積減少の比を%Bとして左房ブースターポンプ機能の指標とした.心拍数100/分の開胸犬では,%Rは29.5±18.1%,%Bは15.2±6.7%であった.また左室急速流入期に左室に流入した血液量の43%が左房リザーバー由来,残りは左房を導管として肺静脈より直接左室へ流入した.左室緩徐流入期に肺静脈より左房に流入した血液量の60%が左房リザーバーに蓄積され,残りが導管としての左房を通過して左室に流入した.心房収縮期に左室に流入した血液量の63%は左房ブースターポンプ由来,残りは左房を導管として肺静脈より直接左室へ流入したことが理解された.心房収縮期においてすら左房を導管としてのみ通過する血液成分が存在するととは,左室への血液流入を考える際に,左室の吸引効果,左房機能に加えて肺静脈系のダイナミクスを考慮する必要を示唆した.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 23 (9), 982-988, 1991

    Japan Heart Foundation

被引用文献 (1)*注記

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