HEART's Original [症例] 凝響著明なCPK上昇を示し急性心筋梗塞との鑑別を要した不安定狭心症の1例

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タイトル別名
  • Unstable angina pectoris with a significant CPK rise and needed discrimination with acute myocardial infarction

抄録

急性心筋梗塞の発症時には,典型的には,胸痛,ECG変化,CPK上昇を認め,心エコー検査で左室壁運動低下を確認する.しかし,実際には上記所見がそろわず,診断の難しいケースが多く存在する.本症例では,胸痛,ECG変化,CPKの上昇を認め急性心筋梗塞が疑われた.<BR>症例は75歳,女性.下肢筋力低下から歩行困難となり,脳神経外科を受診後,整形外科を受診した.受診日の朝から胸痛を自覚し,また,CPKの上昇を認めたことから急性心筋梗塞を疑われ,当科紹介入院となった.緊急冠動脈造影検査を施行し,右冠動脈に99%の有意狭窄を認めたことから経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervetion ; PCI) を施行し, 良好な拡張が得られた. 一方, 入院時から低カリウム血症, 下肢筋力低下, 高血圧を合併し,精査の結果,漢方薬の内服による偽性アルドステロン症,低カリウム血症からの筋力低下と骨格筋由来のCPKの上昇と診断された.CPKの上昇は急性心筋梗塞以外にも起こり得,本症例でのCPKの上昇は心原性か非心原性かの鑑別は発症早期には困難だった.PCI後もCPKの上昇は継続し,カリウム濃度が正常化するまでCPK高値は継続した.正常化後には筋力低下は回復し,歩行退院となった.狭心症に非心原性の高度なCPK上昇を合併した症例を経験したことから,CPK上昇時の急性冠症候群の診断上の問題点を検討した.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 39 (4), 401-404, 2007

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680468806016
  • NII論文ID
    130004136700
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.39.4_401
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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