HEART's Original [症例] 症例房室ブロックの進行とともにみられたincessant型房室結節リエントリー性頻拍に対してカテーテルアブレーションを施行した1例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • A case of radiofrequency catheter ablation for incessant atrioventricular nodal reentrant tachycardia with progressive atrioventricular block

この論文をさがす

抄録

症例は73歳,男性.以前から第1度房室ブロックを指摘されていたが無症状であった.突然生じる動悸を自覚し,他院にて発作性上室性頻拍(paroxysmal supraventricular tachycardia;PSVT)と診断された.発作のたびに救急受診を繰り返したが,頻拍停止後の心電図では経過とともに徐々に房室ブロックの進行がみられていた.約半年後には短時間の頻拍発作を終日繰り返す状態となったためカテーテルアブレーション目的にて入院となった.心臓電気生理学的検査(EPS)では洞調律時から著明なAH時間延長を認め,2拍目でさらなるAH時間延長とともに心拍数90/分程度の上室性頻拍を生じ,電気生理学的検討からその機序は通常型房室結節リエントリー性頻拍と診断した.一方,心房高頻度刺激時に約7秒の心停止を伴う潜在性高度房室ブロックの顕在化がみられ,ペースメーカー植え込みは不可避と思われた.標的頻拍に対する焼灼部位として順行性遅伝導路(slow pathway)あるいは逆行性速伝導路(fastpathway)が想定され,前者を選択し焼灼に成功,頻拍は誘発不能となったが,2:1房室ブロックを呈し持続したため最終的にはペースメーカー植え込みも施行した.本症例は進行性房室ブロックを背景に生じたと思われるincessant型房室結節リエントリー性頻拍であり,術前よりPR延長を合併する房室結節リエントリー性頻拍における治療方針およびアブレーションに伴う合併症としての高度~完全房室ブロック発症などにっき種々の示唆に富む貴重な症例と考える.(注)なお,以下本文で「頻拍」としたものは心拍数約90/分程度であり厳密には「頻拍」の定義は満たさないものの,促拍調律(slow頻拍)あるいは頻拍に準じた状態に対しての表現であることを明記しておく.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 39 (9), 807-814, 2007

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ