GC/MSによる脂肪酸代謝の研究

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タイトル別名
  • Application of GC/MS to Fatty Acid Metabolism
  • GC MS ニ ヨル シボウサン タイシャ ノ ケンキュウ

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抄録

質量分析計は物質の構造解析を目的として発展してきた。ガスクロマトグラフと組み合わせたGC/MSは混合物にも適用できるので生体試料中の微量成分の分析にも向いている。さらに特定質量数のイオンだけを選択的にモニターするマスフラグメントグラフィーという手法を用いると定量分析も可能になる。モルモットのハーダー腺の脂質は50種類にもおよぶ脂肪酸を含んでいて,しかも分枝構造があるので分析にはGC/MSが威力を発揮する。その結果,この腺の分泌脂質である1-O-アルキル-2,3-O-ジアシルグリセロールの構造を明らかにすることができ,かつ分枝脂肪酸が多量に存在することがわかった。マスフラグメントグラフィーを応用し新しい脂肪酸合成酵素活性の測定法を開発してこの腺の酵素を分析したところ,ほかの臓器の酵素と違って分枝脂肪酸を容易に生成できること,生成脂肪酸種は基質レベルで調節されていることなどが明らかになった。これらの分析法は血清中のコレスタノールや胆汁酸の定量にも応用でき,CTXという先天性脂質代謝異常症の診断にも役だっている。本稿は脂肪酸の構造解析とその代謝を例にGC/MSの医学への応用にも言及しようとするものである。

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