強相関系の金属‐絶縁体転移  強相関系の金属‐絶縁体転移の理論

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タイトル別名
  • Metal-Insulator Transitions in Highly Correlated Systems. Theory of Metal-Insulator Transitions.

抄録

金属-絶縁体転移はバンド幅やキャリア濃度を変化させたときに, 量子力学的ゆらぎのために, 絶対零度で生じる相転移である. この中に, バンド絶縁体への転移, 乱れによるアンダーソン転移とならんで, 電子相関の効果が主役を演ずるモット絶縁体への転移がある. 強相関電子系は, 多くの量子力学的多体問題の中でも, 摂動論的手法を使いにくいなどの理由で, とりわけ理論上の難問を多く抱えている. モット絶縁体への転移はその最たるものである. この転移には, スピンや軌道の自由度が絶縁相と金属相で示す秩序とゆらぎの型に依存して, キャリア数が消滅する型, 有効質量が発散する型などの多様性がある. モット絶縁体近傍の金属は標準的な金属とかけ離れた性質を示すことが多い. 特に重要な性質として, バンド絶縁体への転移とは対照的に, コヒーレンスの抑制, 有効質量の増大など「悪い金属」としての特徴があり, 超伝導や磁気秩序, 電荷秩序, 軌道秩序などへの強い不安定性も伴う. 転移のきわで自由な電子の運動が異常に抑制されるさまと, その原因を記述する平均場理論とスケーリング理論を紹介しながら, 空間次元性の変化がもたらすこの転移の多様さと, 背後にある共通で単純な構造を解説する.

収録刊行物

  • 日本物理学会誌

    日本物理学会誌 54 (2), 115-122, 1999

    一般社団法人 日本物理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680380426496
  • NII論文ID
    130004180916
  • DOI
    10.11316/butsuri1946.54.115
  • ISSN
    24238872
    00290181
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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