His‐Purkinje系および副伝導路の逆伝導においていわゆる過常伝導現象が観察された一例

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  • Retrograde "supernormal conduction" in the His-Purkinje system and the accessory atrioventricular pathway in a patient with the concelaed WPW syndrome.

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抄録

His-Purkinje系及び副伝導路の逆伝導においていわゆる過常伝導現象が観察された潜在性WPW症候群の1例を報告する.症例は55歳の女性で動悸発作の精査のため入院となった.電気生理学的検査時, 右房, 左房刺激では△波の出現をみなかった.心房頻回刺激法, 心房期外刺激法により通常型房室結節リエントリー性頻拍と右前中隔部位の潜在性Kent束を介する房室リエントリー性頻拍が誘発された.心室期外刺激法の際, 予期せぬ室房伝導時間の短縮現象が観察された.連結期500msec~380msecでは逆行性His束波までの伝導時間 (S2-H2時間) の短縮に伴い室房伝導時間が短縮し, また連結期330msec~320msecでは, S2-H2'時間は延長していたが室房伝導時間は短縮していた.前者はHis-Purkinje系の逆伝導における過常伝導が, 後者は副伝導路の逆行性過常伝導が推測された.副伝導路の逆行性過常伝導は稀に報告されているが, His-Purkinje系における逆行性過常伝導はいまだ報告がなく, 極めて稀な現象であると考えられた.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 15 (1), 57-65, 1995

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

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