救命し得た<I>Candida tropicalis</I>性心内膜炎の1例

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タイトル別名
  • A Successfully Treated Case of Infective Endocarditis due to <I>Candida tropicalis</I>
  • A Successfully Treated Case of Infective Endocarditis due to Candida tropicalis

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抄録

感染性心内膜炎 (IE) の内で, カンジダ性心内膜炎の頻度は0.6%と少ないが致命率の高い疾患である.今回, 救命し得たカンジダ性IEを経験したので報告した.<BR>症例: 34歳男性.主訴;発熱.飲酒歴;18歳から連日焼酎360ml飲用.既往歴;1985年11月急性出血性壊死性膵炎, その後腹腔内膿瘍を併発し, 長期にわたる抗生剤の使用と中心静脈栄養による管理を必要とした.現病歴;1988年3月22日より発熱, 腰痛, 血尿が出現.その後, 典型的塞栓症状, 感染症所見, 心雑音が出現し, 血液培養にて, Candida tropicalisが検出され, これによるIEと診断した.Miconazole (MCZ) 1日1,200mgを投与開始.経過中, 右鎖骨下動脈の血栓症を併発, 弁置換術および血栓除去術を行った.その後, MCZ投与後解熱傾向なくAmphotericin B (AMPH) 1日40mgとFlucytosine (5-FC) 1日8gの併用投与に変更したが, 腎障害のため中止.再度MCZに変更したところ炎症所見増悪.AMPH 1日20mg点滴静注, 5-FC 1日8g経口投与, AMPH 1日2.4g経口投与併用治療を再開し60日間投与にて治癒.治療中止10ヵ月後の現在血液培養にても再発を見ていない.検出菌の感受性成績 (摂種菌量106 cell/ml) のMICは, AMPH 3.13μg/ml, 5-FCでは6.25μg/mlであった.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 64 (5), 636-641, 1990

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (2)*注記

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