Protomonas extorquensを分離した呼吸器感染症の4例と検出菌の細菌学的性状

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タイトル別名
  • Clinical and Bacteriological Studies in Four Cases of Pulmonary Infection Caused by Protomonas extorquens

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抄録

喀痰および胸水の日常細菌検査として行っていたレジオネラ用培地 (B-CYE平板) にて特有なピンク色素を産生しメタノール添加でも発育可能なProtomonas extorquensと名付けられた稀な菌種を分離した4症例を経験した.<BR>第1症例は腎不全で血液透析中, 肺野にビマン性浸潤影が出現, 喀痰から分離された.第2症例は気管支拡張症と貧血があり, 肺炎を来して来院, その喀痰から分離された.第3症例は膀胱腫瘍と肝硬変の合併有り, 胸水および腹水から分離された.第4症例は肺癌, 癌性胸膜炎の患者で胸水より分離された.この内第2症例を除いて原疾患にて死の転帰をとった.Protomonas extorguensは駒形ら (1984) により提唱された新しい菌種でブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌であり, ピンク色素産生, メタノール培地発育, granuleを有し, ナキシダーゼ, カタラーゼ陽性等の特徴を持つ.同様な菌種は従来より, 広く自然環境に存在することが知られていたが, 最近になり欧米より臨床材料からの分離報告が散見されるようになった.一方, 本邦においては現在まで臨床材料からの分離例はなく, 今回が初めてのことである.今後, 我国においてもopportunistic pathogenの1つとして注目に値するものと思われた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 64 (8), 1048-1056, 1990

    一般社団法人 日本感染症学会

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