慢性気道感染症に対するcefepimeの臨床用量比較試験成績

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タイトル別名
  • Dose Finding Study of Cefepime for Chronic Respiratory Infections
  • マンセイ キドウ カンセンショウ ニ タイスル cefepime ノ リンショ

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抄録

新しいセフェム系抗生物質cefepime (CFPM) の呼吸器感染症に対する至適投与量を検討する目的で慢性気道感染症を対象にCFPM2投与量群, ceftazidime (CAZ) 群の3群で有効性, 安全性ならびに有用性について比較検討した.<BR>各群の投与方法はCFPM1回1g (力価) を1日2回 (CFPM2g群), CFPM1回2g (力価) を1日2回 (CFPM4g群) およびCAZ1回1g (力価) を1日2回 (CAZ2g群) とし, それぞれ14日間点滴静注とし, 以下の成績を得た.<BR>1. 効果判定委員会判定による臨床効果はCFPM2g群82.6%(19/23), CFPM 4g群85.0%(17/20), CAZ 2g群79.3%(23/29) の有効率を示し, 3群間で有意な差はみられなかった.<BR>2. 効果判定委員会採用例に対する主治医判定による臨床効果はCFPM2g群91.3%(21/23), CFPM4g群78.9%(15/19), CAZ2g群75.9%(22/29) であり, 3群間で有意な差は認められなかった.<BR>3. 細菌学的効果はCFPM2g群87.5%(14/16), CFPM4g群68.8%(11/16), CAZ2g群63.2%(12/19) で, 3群間に有意な差はみられなかった.<BR>4. 副作用発現率はCFPM 2g群3.8%(1/26), CFPM 4g群9.1%(2/22), CAZ2g群3.4%(1/29) であり, 3群間で有意な差は認められなかった. 臨床検査値異常変動の発現率はCFPM2g群37.5%(9/24), CFPM 4g群15.0%(3/20), CAZ 2g群3.4%(1/29) であり, 3群間に有意な差 (x2検定: p=0.005) が認められた.<BR>5. 有用性に関しては, 効果判定委員会判定の有用率がCFPM2g群81.8%(18/22), CFPM 4g群76.2%(16/21), CAZ 2g群75.9%(22/29), 効果判定委員会採用例に対する主治医判定では各々90.9%(20/22), 78.9%(15/19), 72.4%(21/29) であり, 3群間で有意な差は認められなかった.<BR>以上の結果を総合的に評価すると, 慢性気道感染症に対するCFPMの臨床用量としては1日2gの投与が最も適当であると考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 66 (7), 837-858, 1992

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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