胎盤 Lysozyme のマウス実験的感染症におよぼす効果

書誌事項

タイトル別名
  • PROTECTIVE EFFECT OF HUMAN PLACENTAL LYSOZYME ON EXPERIMENTAL INFECTION IN MICE INDUCED BY LOSRIDIUM TETANI, STAPHYLOCOCCUS AUREUS OR DIPLOCOCCUS PNEUMONIAE
  • 胎盤Lysozymeのマウス実験的感染症におよぼす効果 Clostridium tetani,Staphylococcus auresおよびDiplococcus pneumoniaeによる実験
  • タイバン Lysozyme ノ マウス ジッケンテキ カンセンショウ ニ オヨボス コウカ Clostridium tetani , Staphylococcus aures オヨビ Diplococcus pneumoniae ニ ヨル ジッケン
  • Clostridium tetani, Staphylococcus aureus および Diplococcus pneumoniae による実験

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抄録

Lysozymeは, Micrococcus lysodeikticus や Bacillus sutilisなどの細胞壁多糖体を水解する溶菌酵素でをはじめ, 卵白, ヒトや動物の組織および分泌液中に広く見出され, 感染に対する自然抵抗性の要因の1つと考えられている。卵白に多量に存在し, その抽出単離が早くからおこなわれたため, これまでの研究には主としてこの卵白Lysozymeが用いられて来た。<BR>Lysozymeは, in vitroでグラム陽性菌に対して弱い抗菌性を示すが, グラム陰性菌に対しては直接的には, ほとんど抗菌力を示さないといわれる1~3)。しかし, 抗体と補体の関与する免疫溶菌系においては, Lysozymeがその溶菌反応を増強・促進することが知られている4~8)。また結核菌に対しては, in vitroで静菌的に働くといわれ9,10), さらに, 実験的結核感染家兎において, 細胞免疫の成立する時期に大喰球中のLysozyme活性が増加することから, この現象を結核菌の細胞内破壊と関連ずけようとする報告もみられる11)。<BR>1963年, JOLLES および共同研究者12)は, ヒト胎盤からLysozymeを単離・精製し, その理化学的性状を明らかにした。最近, Lysozymeの薬剤としての利用が広く試みられているが, IZAKA18, 14)らは, ヒト胎盤からLysozymeを単離・精製する新らしい方法を報告している。私共は, このヒト胎盤Lysozymeを用いて, 各種細菌に対する作用をしらべたところ, Staphylococcus aureus, Diplococcus pneumoniae, Clostridium tetaniに対してin vitroでは, ほとんど抗菌性を示さないにも拘らず, in vivoのマウス実験的感染症において明らかな救命効果を示し, 特に破傷風菌感染症に対して効果が著るしいことを見出した。この報告では, 胎盤-Lysozyme単独投与による治療効果をみると共に, Penicillin系薬剤との併用による作用増強効果についてもふれることとする。

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