Carbenicillinの大量投与による尿路感染症の治療 第1報

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  • TREATMENT OF URINARY TRACT INFECTIONS WITH LARGE DOSE OF CARBENICILLIN. I. EFFICACY WITH DAILY DOSE OF EIGHT GRAMS

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抄録

Carbenicillin (Carboxybenzyl penicillin) は, 合成Penicillinの中で新らしい型の広域Penicillinであり, Penicillin酸に, 6位に入るα-CarbonにBenzene核とともにCarboxyl基が入つたもので, この位置に他の酸性基の入つたPenicillin同様に,Proteus群およびPseudomonasにまで抗菌Spectrumの拡がつたものである。われわれ, および他の研究者等の報告にあるとおり1, 2),Klebsiella等のPenicillinase産生能がTransferable R-factorによるものでも, Non-transmissibleのChromosomal markerの存在によるものでも, その細菌に対して, この薬剤が無効であることに変わりない。一方,Pseudomonasに対するMIC値は, 段階的に広く分布し, 他の菌との組合わせによる耐性分布とは異なつた傾向を示す。しかし,Pseudomonas感染症は典型的な弱毒菌感染であり, 宿主側の要因が感染準備状態を作るように変化しない限り, ほとんど成立しない感染症である。そのために宿主の条件がまちまちで一定せず, 薬剤投与に対する反応もその条件の差によつて大きく左右されることになる。そこで,宿主条件を一定と仮定し, Parasite-drug relationshipのみから有効投与量を決めることができないのは当然である。したがつて, 数多くの症例について感染菌のMIC値と投与量の異なる組合わせで治療し, その効果から逆に宿主側の感染準備状態の程度を推量するという労多い帰納的方法を採らざるを得ないことになる。われわれは, このような方法の手始めに, まず30例の尿路感染症に一律にCarbenicillin 8gの投与をおこなつた。そのうちのPseudomonas感染症の18例については, 感染菌を保存し, 試験管内感受性を測定した。なお, 薬剤投与法は, 原則として点滴静注法によつたが, 夜間は定時静注をおこなつたものも少なくない (1回2g, 6時間間隔)。症例一覧表 (表1) を基にして, MIC値と宿主条件の関連を中心に考察を加えたいと思う。

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