硫酸Paromomycin による広節裂頭条虫の駆除

書誌事項

タイトル別名
  • TREATMENT OF DIPHYLLOBOTHRIUM LATUM INFECTION WITH PAROMOMYCIN SULFATE
  • リュウサン Paromomycin ニヨル コウセツレットウジョウチュウ ノ

この論文をさがす

抄録

近年のめざましい農業形態の変貌や生活環境の整備などによつて土壌由来の線虫 (Soi1-borne nematodes), 蛔虫, 鉤虫, 鞭虫などの寄生者が激減してきているが, それとは反対に, 最近むしろ増加しつつあるいくつかの寄生虫症もある。広節裂頭条虫症も最近・全国的な増加傾向の伝えられる寄生虫症の1っであるが, 本虫の感染がサケ, マスの生食によるということから考えても, 近年食生活が豊かになつてきたということとは無縁なものではない。<BR>本症は, 魚類の生食を好む日本人の間には古くからよく知られた疾患で, 駆虫には種々の薬剤が用いられたようで, フィルマロン, 綿馬エキス, コソ, カマラ, ザクロ根皮, 椎の実, チモール, 四塩化エチレン, アテブリンなどが一昔前までの成書や種々の治療指針にみられる。しかし, それら薬剤のいずれもが使用方法, 駆虫効果, さらには副作用などの点で満足すべきものではなかつたようで, 現在では使用されていない。それにかわつて, 最近ではBithionol (Bitin) 1), Niclosamido (Yomesan) 2), 硫酸Paromomycin8) などが試みられ, いずれも安定した駆虫効果を示すことがみとめられている。<BR>著者らも, 1969年から硫酸Paromomycinを広節裂頭条虫症の駆虫に使用し始め, 1978年までに秋田 (うち1例は青森県人), 新潟両県で56例に達したので, 以下その成績を簡単に報告する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ