臨床 左房内可動血栓を有する僧帽弁狭窄症の3例と,その発生機序についての検討

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タイトル別名
  • The study of three cases of mitral stenosis with movable left atrial thrombus

抄録

左房内可動血栓は,全身への塞栓あるいは僧帽弁口への嵌頓のため,突然死の原因ともなりうる.われわれは,心エコー図により発見された,左房内可動血栓を有する僧帽弁狭窄症患者3例を経験したので,その発生因子および発生機序について検討した.3例中,2例は球状浮遊血栓であり,1例は有茎性可動血栓であったが,3例とも塞栓症を合併しており,左房内可動血栓においては塞栓症が頻発する可能性の高いことを示唆していた.さらにワーファリンコントロール中に左房内浮遊血栓が僧帽弁口を通過し,塞栓症を起こした症例もあるため,僧帽弁狭窄症における抗凝固療法は,症状,心エコー図所見などに注意を払い,慎重に開始すべきであると思われた.また,上記3例と,壁在血栓を有する患者5例および血栓を有さない僧帽弁狭窄症患者7例の心エコー図上の特徴を比較検討したが,左房径,僧帽弁口面積および左心機能に差は認められず,可動血栓の成因としては心房細動以外に所見は得られなかった.しかし,われわれの症例および文献的考察より,この可動血栓は短期間で発生,発育する可能性が示唆されるため,頻回に心エコー図をとり,その有無を確認すべきであると思われた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 17 (6), 615-622, 1985

    Japan Heart Foundation

詳細情報

  • CRID
    1390282680463057024
  • NII論文ID
    130004411484
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.17.6_615
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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