症例 右冠動脈右心房瘻の1例

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タイトル別名
  • A case of a large right coronary-right atrial fistula. Real-time two-dimensional doppler flow imaging and nuclear magnetic resonance computed tomography
  • リアルタイム二次元ドプラ法ならびに核磁気共鳴画像法を中心に

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抄録

冠動脈瘻は,連続性雑音の聴取により疑われ,血管造影によって確定診断される.最近,本例を非観血的検査法である断層心エコー図法あるいは超音波パルスドプラ法などを併用して,瘻血管全体を描出したとする報告がみられるが,核磁気共鳴画像法(以下,NMR-CT検査)を利用した報告は少ない.著者らは,リアルタイムニ次元ドプラ血流映像法(以下,カラードプラ法)ならびにNMR-CT検査で非観血的に冠動脈瘻のほぼ全貌を画像診断できた症例を経験したので報告する.症例は17歳の女性.第2肋間胸骨右縁に最強点を有するLevine2度の連続性雑音の精査のため来院した.断層心エコー図法では4心腔共軽度拡大しているが,弁膜や中隔に異常を認めない。カラードプラ法では心房収縮直前にもかかわらず右心房右方の交通口と思われる部位から三尖弁方向に向かう異常血流を検出し,NMRCT検査で,右冠尖部より直径約2cmの太い管状物が出て,右心房上を複雑に蛇行して,ついに,右心房の右後面に開通している像を認めた.心臓カテーテル検査ならびに血管造影法で,著明に拡張・蛇行した右冠動脈右心房瘻を確認し,肺・体血流比は1.66であった.瘻管の結紮切除後,前述のカラードプラ法の異常血流ならびにNMR-CT検査での瘻管はもはや認められなかった.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 21 (8), 956-960, 1989

    Japan Heart Foundation

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