研究 I群抗不整脈モリシジンによる心室頻拍徐拍化作用

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タイトル別名
  • Effects of moricizine, a class I antiarrhythmic agent, on slowing of ventricular tachycardia
  • Anisotropic conduction properties and drug efficacy
  • 異方向性伝導特性と薬効

抄録

I群抗不整脈薬モリシジンが梗塞心での興奮伝播様式を修飾し,抗不整脈作用および催不整脈作用をもたらす機序を解明することを目的とした.対象には左冠動脈前下行枝結紮後7日目の亜急性期心筋梗塞犬モデル7頭を用いた.健常部(右室自由壁)および梗塞部心表面より各々800,600,400,300msec間隔の連続刺激を30拍加え,30拍目の刺激の興奮伝播様式を96チャンネル高密度心表面マッピング電極で記録し解析した.<BR>次に右室早期刺激法による心室頻拍の誘発を行った.その後モリシジンを2および4mg/kg投与し,同様の測定を行った.無投薬下では300msec間隔の刺激時に梗塞部心筋線維に平行(L)方向で健常部に比べて伝導速度の有意な低下を認めた(p<0.05).モリシジンは健常部L方向で300msec間隔の刺激時にのみ有意な抑制効果を示した.<BR>梗塞部L伝導では4mg/kg投与時800msec刺激時から有意な抑制効果を認めた(p<0.05).右室早期刺激法による心室頻拍/細動の誘発ではモリシジンの投与による誘発の抑制は認めなかった.モリシジン4mg/kgの投与により心室頻拍は心拍数297から206/分へと徐拍化した.誘発された心室頻拍時の心表面マッピングではリエントリー回路におけるL方向の伝導速度の低下が認められた.以上の結果よりL方向の伝導低下がモリシジンの徐拍化の機序である可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 25 (10), 1161-1167, 1993

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205486051840
  • NII論文ID
    130004412856
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.25.10_1161
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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