症例 リファンピシンによりジルチアゼム血中濃度上昇が抑制され,冠攣縮性狭心症発作の頻発をみた1例

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  • A case of refractory spastic angina with reduction of bioavailability of diltiazem by rifampicin

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抄録

症例は55歳の男性で,肺結核・糖尿病のためリファンピシン450mg,イソニアジド400mg,エタンブトール塩酸塩750mg,ラスチノン1,500mgを内服治療中,安静時胸痛発作が生じるようになった.冠動脈造影検査にて有意狭窄のない左前下行枝近位部の冠攣縮性狭心症と診断され,カルシウム拮抗薬を中心とした抗狭心症薬の投薬を受けたが,胸痛発作は頻発し続けた.当時施行したジルチアゼム血中濃度(200mg内服中)は,3ng/mlと異常に低値であった.このためリファンピシンによる薬物相互作用を疑い,リファンピシンを中止したところ翌日より胸痛発作は消失し,中止1カ月後に測定したジルチアゼムの血中濃度(200mg内服中)は88ng/mlと上昇していた.リファンピシンによりジルチアゼム血中濃度の上昇が抑制され,胸痛発作がコントロールできなかったものと考えられた.既にリファンピシンとの薬物相互作用を報告されているベラパミル,ニフェジピン以外のカルシウム拮抗薬でもリファンピシンによって血中濃度上昇が抑制される可能性があり,併用時には薬物血中濃度に注意が必要と思われた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 26 (7), 732-736, 1994

    Japan Heart Foundation

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