症例 心筋病変を認めた成人型家族性房室ブロックの1例

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  • Familial atrioventricular block of adult onset with significant myocardial involvement

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抄録

成人型家族性房室ブロックの1例に心筋生検にて有意な心筋病変を認めた.症例は44歳男性で,父親(不整脈の詳細不明)が55歳,姉(完全房室ブロック)が57歳の時に人工ペースメーカー植え込み術を施行している.患者は通常伝導比2:1の房室ブロックを呈し,His束心電図ではA-Hブロックと診断された.自覚症状はなく,胸部X線像と心エコー図には異常所見は認めなかったが,右室心筋生検にて心筋細胞の肥大,配列の乱れと変性ならびに間質の浮腫と線維化を認めた.従来より家族性房室ブロックの病変は刺激伝導系に限局しており,いわゆる特発性心筋症とは別の疾患とされていた.本症例は臨床的にいずれの型の心筋症にも該当しないが,不整脈と伝導障害を主徴とする電気的障害型心筋症の概念に当てはまり,家族性房室ブロックにも心筋病変の合併することが示された.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 27 (9), 825-829, 1995

    Japan Heart Foundation

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