症例 超高速CTと経食道心エコー・ドプラー法にて診断し得た左房内に瘤状拡張を呈する右冠動脈左房瘻の1 例

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  • A case of right coronary artery-left atrial fistula with an aneurysm within left atrium diagnosed by ultrafast computed tomography and transesophageal Doppler color flow imaging

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抄録

左房内に動脈瘤を有する右冠動脈左房瘻の診断に超高速CTと経食道心エコー・ドプラー法が有用であった1例を報告する.症例は,74歳,女性.狭心症の精査治療目的にて入院.経胸壁心エコーにて左房内に,19×14mm大の腫瘤が認められたが,同部のドプラー法では心腔内の異常血流は検出されなかった.MRIでも左房内に管腔を有する腫瘤としてみられたが,左房内にフローボイドは認められなかった.これに対し経食道心エコーでは,左房内腔に突出する腫瘤の内部に管腔構造が認められ,ドプラー法で同部より左房に流入する血流が明瞭に描出された.超高速CTでは左房壁より内腔に突出する腫瘤として認められ,フローモードではコントラストは,上行大動脈より遅れて腫瘤内の管腔構造に出現し,大動脈内のコントラスト消失後も瘤内でコントラストが残るプール像を認めた.以上より左房内に動脈瘤を有する冠動脈左房瘻が疑われ,冠動脈造影にて心房枝を異常血管とし,左房へ開口する右冠動脈左房瘻が確認された.本報告は,心腔内に動脈瘤を有する冠動脈瘻の診断に経食道心エコー・ドプラー法と超高速CTを用い,経食道心エコー・ドプラー法では瘻のシャント血流の描出に,超高速CTではフローモードを用いることによって,シャント血流の時相解析に有用であることを示した.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 29 (5), 405-409, 1997

    Japan Heart Foundation

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