研究会 第30回河口湖心臓討論会 主題 : 心・血管のリモデリング エンドセリン- 1 の発生工学的遺伝子操作と病態解析

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タイトル別名
  • Genetic manipulation and pathophysiological analysis of endothelin-1

抄録

エンドセリンー1(ET-1)の発生工学的遺伝子操作により,ET-1ノックアウトマウスおよび過剰発現トランスジェニックマウスを作製した. E T - 1 ノックアウトマウスホモ接合体は,CATCH22/DiGeorge 症候群に似た頭頸部および心血管系の奇形を呈し,ET-1が胎生期において,鰓弓や心血管系の発生に関与する頭部神経堤細胞の発生分化に重要な役割を担っていることが明らかになった.その機序として,ET-1からbHLH型転写因子dHAND,eHANDに至る経路が,神経堤細胞から平滑筋細胞などへの分化誘導に関与していると考えられた.また,ET-1ノックアウトマウスヘテロ接合体は血圧上昇を示した.この昇圧の機序はいまだ明らかではないが,ET-1は単純に昇圧因子としてのみ働いているのではないと考えられ,その機序の解析は,循環調節機構におけるET-1の位置づけを考える上で重要な手がかりになると考えられる.<BR>さらに我々は,ET-1遺伝子プロモーターを用いて血管壁選択的に遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを開発し,この系を用いてET-1過剰発現マウスを作製した.ET-1過剰発現マウスは低体重や体毛の異常を示すが,血圧には大きな変動はない.今後これらのマウスの解析により,ET-1の生理的役割が生体レベルでさらに解明されることが期待される.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 29 (5), 436-450, 1997

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680463881344
  • NII論文ID
    130004413870
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.29.5_436
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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