研究会 第36回河口湖心臓討論会 メインテーマ : 「21世紀の心エコー図学」経胸壁心エコー・ドプラ法による冠血流評価

DOI
  • 穂積 健之
    大阪市立大学大学院医学研究科循環器病態内科学
  • 吉川 純一
    大阪市立大学大学院医学研究科循環器病態内科学

書誌事項

タイトル別名
  • Noninvasive coronary flow assessment by transthoracic color Doppler echocardiography

抄録

近年の経胸壁カラー・ドプラ法を用いれば,左前下行枝(LAD)の冠血流シグナル描出が可能となった.このため,冠血流上へのサンプル・ボリュームの設定が容易となり,ベッドサイドでの冠血流評価が可能となった.<BR>経胸壁ドプラ法により計測されるLAD近位部以遠での冠血流速・冠予備能は,ドプラ・ガイド・ワイヤーによる計測値と良好に一致し,カテーテル室でされるのと同様の冠血流速・冠予備能評価が非侵襲的に可能である.<BR>経胸壁ドプラ法にてLADの冠予備能を計測すると,有意狭窄例での冠予備能は1.5±0.2であり,有意狭窄のない例での冠予備能(2.6±0.4)と比べ有意に低値であった.冠予備能2.0以下であれば,感度92%・特異度86%と,精度高く有意狭窄の診断が可能であった.また,LADにおけるPTCA施行部位において,カラー・ドプラ法での折り返し部位(狭窄部)での血流速と,その手前の非狭窄部血流速を計測すると,非狭窄部/狭窄部の血流速比が0.45以下であれば,感度86%・特異度93%と精度高く再狭窄診断が可能であった.<BR>経胸壁ドプラ法を用いた冠予備能計測から,冠微小循環の評価も可能である.健常例での高脂肪食摂取前後の冠予備能を計測すると, 平均4.02 から3.30と有意な低下がみられた.また,閉経前女性で血中エストロゲン濃度の周期と冠予備能の関係を検討すると,エストロゲン濃度の低い時期には冠予備能は3.7±0.8であるのに対して,エストロゲン濃度の高い時期には4.8±0.4と有意な上昇がみられた.<BR>経胸壁心エコー・ドプラ法による冠血流評価は,これからのベッドサイドでの重要な検査のひとつとなっていくと期待される.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 35 (3), 224-232, 2003

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205485719296
  • NII論文ID
    130004415103
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.35.3_224
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ