HEART's Original [症例] 特発性肺動脈拡張症の1例

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タイトル別名
  • A case of idiopathic dilatation of pulmonary artery

抄録

症例は77歳,男性.学童時より先天性心疾患を疑われていたが,無症状のため放置していた.肝細胞癌の手術目的に当院外科に入院した.第2肋間胸骨左縁にLevineIII度の収縮期駆出性雑音を聴取し,胸部X線にて左第2弓の突出と胸部CTにて肺動脈主幹部から左右肺動脈近位部に著しい拡張を認めたため,当科を受診した.<BR>心エコー検査では肺動脈の拡張以外,肺動脈弁の性状も含め異常を認めなかった.右心カテーテル検査では肺高血圧や血液酸素飽和度の異常を認めなかった.肺動脈造影検査では肺動脈主幹部から左右肺動脈近位部の著しい拡張を認めた.以上の所見から,特発性肺動脈拡張症と診断した.超音波カラードプラ法では,肺動脈主幹部内に収縮前期には左肺動脈へ向かい,収縮後期には左肺動脈から肺動脈主幹部へ反転して流れている様子が観察された.拡張期には血流は観察されなかった.超音波造影剤レボビスト(R)を使用したコントラスト心エコー法では,拡張期に左肺動脈から右肺動脈へゆっくりと戻りながら回旋する乱流を認めた.これらの特徴の異なる2つの方法を組み合わせることで,今回われわれは初めて拡張した肺動脈主幹部内の血流を正確に捉えることができた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 39 (1), 45-49, 2007

    Japan Heart Foundation

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205491716352
  • NII論文ID
    130004415835
  • DOI
    10.11281/shinzo1969.39.1_45
  • ISSN
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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