ダウン症候群の発達遅滞と早発認知症における大脳の可塑性に関する脳病理学的研究

  • 高嶋 美和
    専門学校 柳川リハビリテーション学院 国際医療福祉大学大学院
  • 甲斐 悟
    国際医療福祉大学大学院
  • 高橋 精一郎
    国際医療福祉大学大学院
  • 冨士本 隆文
    専門学校 柳川リハビリテーション学院
  • 横尾 正博
    専門学校 柳川リハビリテーション学院
  • 高嶋 幸男
    専門学校 柳川リハビリテーション学院 国際医療福祉大学大学院 柳川療育センター

書誌事項

タイトル別名
  • Neuronal Compensation and Plasticity in the Cerebral Cortex of Down Syndrome Associated with Mental Retardation and Dementia
  • ダウン ショウコウグン ノ ハッタツ チタイ ト ソウハツ ニンチショウ ニ オケル ダイノウ ノ カソセイ ニ カンスル ノウ ビョウリガクテキ ケンキュウ

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抄録

〔目的〕ダウン症候群(DS)の大脳皮質・白質の発達と加齢を抗Protein Gene Product 9.5(PGP9.5)抗体を用いて,免疫組織化学的に明らかにし神経の可塑性について考察した.〔対象〕DS群のヒト脳組織で大脳(前頭葉)24例(在胎19週から63歳)とした.〔方法〕抗PGP9.5抗体を用いて免疫組織化学的染色を行った.蛋白の発現を半定量的に判定し,脳病変のない正常発達群との比較検討を行った.〔結果〕DS群の乳幼児期大脳皮質では,第3・5層の錐体細胞層でPGP9.5の発現が減弱していたが,第2・4層の顆粒細胞層での発現は比較的正常発達群と類似していた.DS群青年期以降の大脳皮質の顆粒細胞層,錐体細胞層におけるPGP9.5陽性細胞は,正常発達群よりも増強していた.更に,DS群成人期では,アルツハイマー型病変の中にPGP9.5が強陽性を示す神経細胞が散在していた.〔結語〕DS群のPGP9.5陽性細胞の発現が正常発達群より減弱していることは,樹状突起やシナプスの発達遅滞を示唆し,顆粒細胞層での発現は,錐体細胞層の減弱に対する代償機能であると考えられた.学童期以降におこるPGP9.5の発現増強は,樹状突起の萎縮やスパインの減少に対する可塑性や神経細胞の活性化とも考えられた.DS群成人期では,神経細胞変性の一方で,残された正常細胞が再活性していることが示唆された.<br>

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参考文献 (21)*注記

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