一地域の透析導入数を3年間で30%減少させようとする, 「D3-30プロジェクト」についての報告

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タイトル別名
  • An Attempt to Curb Overuse of Dialysis
  • イチ チイキ ノ トウセキ ドウニュウスウ オ 3ネンカン デ 30% ゲンショウ サセヨウ ト スル D3 30 プロジェクト ニ ツイテ ノ ホウコク
  • ——Results of “D3-30 Project” in Toride City——

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抄録

日本の透析患者数は毎年増加し,透析に要する医療費は総医療費の7%を超え,国家財政の大きな負担となっている。<br> 茨城県取手市住民を対象として,残された腎機能を保持する慢性腎臓病 (CKD) 保存療法を導入することにより,透析導入患者数を3年間で30%減らそうとする「D3-30プロジェクト」が,2006年4月に開始された。取手市は人口112,152人 (2006年度) 高齢化率19%の中都市である。CKD保存療法は1987年から取手協同病院に於いて開発されてきたもので,血圧調節,食事療法 (軽度の蛋白制限・食塩制限),薬物療法,集学療法により,尿蛋白排泄量1日0.3g未満への減少を目ざすものである。対象となるCKD患者は取手協同病院の登録医,市保健センターよりの紹介,駅・公会堂に掲示したプロジェクト開始のポスターにより集められた。透析導入数調査は取手協同病院に於ける導入数と,周辺の6か所の透析センターでの導入数を年度毎に調査することにより調べた。透析へ導入された取手市住民の数は介入前の2005年度36人が,2006年度30人 (-17%),2007年度33人 (-8%) となり,2008年度は22人 (-39%),2009年度23人 (-36%) と減少し,始めに掲げた30%減を上回る結果となった。この治療法が全国に普及すれば医療費節約効果はきわめて大きいが,通常行なわれているCKD治療に比し煩雑である点が普及を妨げている。疾患指導管理料等のインセンティヴにより,普及を促進すべきである。

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参考文献 (42)*注記

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