健忘症状群の診かた

• 数井 裕光

  大阪大学大学院 医学系研究科 内科系臨床医学専攻 情報統合医学講座精神医学

• 武田 雅俊

  大阪大学大学院 医学系研究科 内科系臨床医学専攻 情報統合医学講座精神医学

書誌事項

タイトル別名

• How to assess memory in amnesia patients

抄録

健忘症の評価は，せん妄や confusional state などの注意障害による見かけ上の健忘症を除外することからはじまる。その後，言語性と視覚性，再生と再認，前向性と逆向性それぞれの観点から記憶の評価を行う。MRI などの神経画像検査の結果や原因疾患に関する情報も積極的に利用すべきである。健忘症の責任部位は多彩であるが，とくに海馬，海馬傍回などの側頭葉内側部，前核，背内側核などの視床，前脳基底部が重要である。さらに脳に器質的な障害がない解離性障害でも逆向あるいは前向健忘を呈することがある。それぞれの部位および疾患ごとの健忘症状の特徴を知っておくことが必要である。また皮質下性認知症でも健忘を呈するが，アルツハイマー病よりも軽度で，手がかり再生や再認が保たれやすい。したがって，健忘の評価は両者の鑑別に有用である。

収録刊行物

• 高次脳機能研究 （旧 失語症研究）

  高次脳機能研究 （旧 失語症研究） 29 (3), 304-311, 2009

  一般社団法人 日本高次脳機能障害学会

キーワード

• 記憶検査
• 注意機能
• 脳部位
• 原因疾患
• 皮質下性認知症

詳細情報

• CRID: 1390001205204541184
• NII論文ID: 130004467627
• NII論文ID: 10029832771
• NII書誌ID: AA1182424X
• DOI: 10.2496/hbfr.29.304
• ISSN: 18806554
• ISSN: 13484818
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2010014690
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • Crossref
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可