挿管後の披裂軟骨脱臼症例の検討

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  • A Study of Postintubation Arytenoid Dislocation.

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抄録

気管内挿管の合併症のひとつである披裂軟骨脱臼の報告例は少なくその実態はあまり知られていない。<br>1997年~2000年9月までに当科で経験した披裂軟骨脱臼を疑い整復術を試みた17例を検討した。原因手術は心臓手術5例,大血管手術2例,肺手術1例,消化管手術8例,肝臓手術1例であった。<br>症状は発声障害と嚥下時に不快感がある嚥下困難を伴う例が多かった。整復後には16例の症状は劇的に改善した。改善しなかった例は左肺手術後の患者で,発声障害に加え嚥下障害がその後出現し軽快増悪を繰り返した。この例は反回神経麻痺と考えられた。<br>喉頭所見では,患側は両側8例,左側2例,左側7例であった。患側声帯の可動性が制限され,声帯突起の動きと披裂軟骨上端部の動きが協調しておらず声帯突起の動きが悪く,披裂軟骨上端部の動きは良好のようにみえた。<br>症状では嚥下時に不快感を伴う点に注意し,喉頭所見では声帯突起の動きと披裂軟骨上端部の動きの乖離に注意すれば,披裂軟骨脱臼は反回神経麻痺と誤診することは少ない。整復により劇的に改善するので,積極的に整復を試みるべきと考えた。

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参考文献 (13)*注記

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