受傷2年後に整復術を施行した甲状軟骨骨折症例

  • 坂井 利彦
    国立国際医療研究センター 耳鼻咽喉科頭頸部外科
  • 高野 真吾
    国立国際医療研究センター 耳鼻咽喉科頭頸部外科
  • 牧角 祥美
    国立国際医療研究センター 耳鼻咽喉科頭頸部外科
  • 黄 淳一
    山梨県立中央病院 耳鼻咽喉科
  • 田山 二朗
    国立国際医療研究センター 耳鼻咽喉科頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case Report of Thyroid Cartilage Fracture Undergoing Open Reduction Two Years after Injury
  • 症例 受傷2年後に整復術を施行した甲状軟骨骨折症例
  • ショウレイ ジュショウ 2ネンゴ ニ セイフクジュツ オ シコウ シタ コウジョウ ナンコツ コッセツ ショウレイ

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抄録

音声機能改善を目的とした骨折整復は周囲との癒着が生じる以前に行うことが望ましいが,喉頭外傷では救命が優先されるため,陳旧例にも遭遇する。今回われわれは受傷後2年経過した喉頭外傷後音声障害の症例に対し甲状軟骨整復術を行い,良好な結果を得た。症例は34歳,男性。自動車の組み立て中に,上から落下した鉄パイプで頸部~胸部を受傷した。事故直後から高い声が出ないことを自覚していたが,気胸,肋骨骨折に対する治療が優先され,喉頭外傷に関しては評価されなかった。約2年後に音声障害を主訴として地元病院耳鼻咽喉科を受診し,甲状軟骨の骨折を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった。喉頭内視鏡検査で右声帯は短く緊張を失っていた。CTでは甲状軟骨が縦方向に骨折し,左側が後方に落ち込んでいた。喉頭枠組みの変形が音声障害の原因と判断し,手術により正常解剖に近づけるように整復した。結果,自覚症状は改善し,音域検査では喉頭調節機能の改善を認めた。陳旧例であっても,喉頭の変形を整復することで音声機能を改善し得る場合があり,画像検査,内視鏡検査,音声検査等により喉頭の状態を適切に評価し手術を検討する必要があると考えられた。

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参考文献 (5)*注記

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