右拇指にのみ皮膚病変が限局した Hallopeau 稽留性肢端皮膚炎の 1 例

  • 内海 大介
    琉球大学大学院医科学研究科皮膚病態制御学講座
  • 仲村 郁心
    琉球大学大学院医科学研究科皮膚病態制御学講座
  • 山口 さやか
    琉球大学大学院医科学研究科皮膚病態制御学講座
  • 眞鳥 繁隆
    琉球大学大学院医科学研究科皮膚病態制御学講座
  • 宮城 拓也
    琉球大学大学院医科学研究科皮膚病態制御学講座
  • 苅谷 嘉之
    琉球大学大学院医科学研究科皮膚病態制御学講座
  • 高橋 健造
    琉球大学大学院医科学研究科皮膚病態制御学講座
  • 上里 博
    琉球大学大学院医科学研究科皮膚病態制御学講座

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Acrodermatitis Continua of Hallopeau Limited to the Right Thumb
  • 症例 右拇指にのみ皮膚病変が限局したHallopeau稽留性肢端皮膚炎の1例
  • ショウレイ ウボシ ニ ノミ ヒフ ビョウヘン ガ ゲンキョク シタ Hallopeauケイリュウセイシタン ヒフエン ノ 1レイ

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抄録

74 歳,男性。約 5 年前より特に誘因なく右拇指の爪甲が肥厚し,同爪甲下に膿疱が出没を繰り返していた。近医皮膚科にて爪白癬と診断され,抗真菌薬の外用,内服治療を受けていたが,症状が改善しなかったため当科を紹介され受診した。病変は右拇指の 1 指のみに限局し,右拇指末端の腫脹,爪甲の肥厚および粗造化,爪甲下膿疱,爪周囲の紅斑,落屑を認めた。複数回の爪甲の真菌直接鏡検,真菌培養検査はいずれも陰性であった。2 回行った膿疱の細菌検査では有意な細菌は検出されなかった。爪の病変部より皮膚生検を施行し,病理組織学的所見では角質の増生および不全角化,表皮突起の規則的な延長,Kogoj 海綿状膿疱が認められた。以上のことから Hallopeau 稽留性肢端皮膚炎と診断した。プロピオン酸クロベタゾールおよびカルシポトリオールの外用治療にて,爪甲の肥厚および粗造化の改善,膿疱の消失を認めた。自験例と併せて,1984 年以降に本邦で報告された Hallopeau 稽留性肢端皮膚炎の 17 症例の集計を行った。初診時に爪甲の変形が 1 指に限局していた症例は 10 例であり,決して稀ではないことが示唆された。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 75 (4), 304-308, 2013

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (7)*注記

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