カチオン性ミセルとDNAが形成する超分子構造と遺伝子導入効率の関係

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between the Supramolecular Structure and the Transfection Efficiency for Cationic Micelle/DNA Complexes

抄録

合成遺伝子ベクターとして,一級アミンを有するベンジルアミン誘導体(BA)を合成し,溶解性と生体親和性を上げるために中性脂質の DOPE, DLPC をさまざまな割合で混合し脂質ミセル溶液を作製した.この脂質ミセル溶液とプラスミド DNA である pGL3 を混合して複合体(リポプレックス)を形成させた.このリポプレックスの遺伝子導入効率を調べたところ,BA:DOPE:DLPC=1:2:1(以後組成 B)において,市販されている試薬のリポフェクトアミンと比較して約 3 倍高い遺伝子発現を示した.一方,発現のほとんど見られない組成も存在した.小角 X 線散乱を用いて,導入効率のほとんど見られなかった組成 A の脂質ミセル(BA:DLPC=1:1)と導入効率が最も高かった組成 B の脂質ミセルの構造を調べた.A では DNA を添加する前のミセルは球状であり,DNA と複合化させると 6 方晶に配置したシリンダーとなり,さらに複合体中の DNA の比を増加させるとラメラ構造へと変化した.一方,B では脂質ミセルのみで 6 方晶のシリンダーを形成しており,DNA と複合化させると構造の規則性が増加した.これらの結果から,A では DNA が多くの脂質で取り囲まれた二重膜逆相シリンダー構造(複合体中の DNA 比が低いとき)あるいはラメラ構造(複合体中の DNA 比が高いとき),B では脂質ミセルの形成するシリンダー間に DNA の入った相互貫入型シリンダー構造と結論された.これは,他の方法からも支持される結果であった.<br>

収録刊行物

  • 高分子論文集

    高分子論文集 66 (5), 179-186, 2009

    公益社団法人 高分子学会

参考文献 (12)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282681502057216
  • NII論文ID
    130004489220
  • DOI
    10.1295/koron.66.179
  • ISSN
    18815685
    03862186
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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