遺残坐骨動脈瘤の 1 手術例

  • 島田 晃治
    新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸循環外科学分野
  • 林 純一
    新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸循環外科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Persistent Sciatic Artery Aneurysm

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抄録

発生期に存在する坐骨動脈が退化消失せず残存した遺残坐骨動脈は動脈瘤化し坐骨神経痛や破裂をきたすことや,閉塞・血栓症による下肢虚血をもたらすことがあり,その解剖学的特徴のため血行再建の方法・経路や動脈瘤の切除には症例に応じた検討を要する.今回われわれは稀な症例である遺残坐骨動脈瘤の 1 症例に対して瘤空置・バイパス手術により良好な結果を得たので報告する.症例は75歳の女性.安静時の右臀部痛を主訴に当院整形外科を受診.CTで右遺残坐骨動脈瘤を指摘され当科紹介となった.術前精査で右下肢の動脈の走行は,右内腸骨動脈から遺残坐骨動脈を経て膝窩動脈に連続していた.総大腿動脈・浅大腿動脈は低形成で膝窩動脈との連続は認めなかった.遺残坐骨動脈は臀部で 2cm大に瘤化していた.手術は右内腸骨動脈を骨盤深部で結紮し遺残坐骨動脈を大腿末梢部で結紮し,右内腸骨動脈–膝窩動脈バイパス術をePTFEグラフトを用いて行い動脈瘤は空置した.術後経過は良好で術後のCTでは動脈瘤は完全に血栓化し臀部痛は消失した.

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