透析用ポリウレタン製人工血管を用いたコンポジットグラフト手技

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Surgical Procedure Using a Polyurethane Graft and ePTFE Graft to Access Blood Vessels

この論文をさがす

抄録

【目的】透析用ポリウレタン製人工血管ソラテック®の手術操作性における欠点の克服のためePTFE人工血管を併用する術式を考案し,その手術成績,遠隔成績を調査した.【方法】2005年7月より2010年4月までに,前腕での人工血管内シャント造設に際し動脈側吻合部より直線部分をソラテック®人工血管とし残りの手関節付近でループを描き静脈側吻合部までをePTFE人工血管を用いる術式(以下コンポジット手技)を行った症例は97例であった.男39例,女58例,平均年齢68.7±11.2(34~87)歳でこれらを対象とした.【結果】手術成績は8例(9%)に早期閉塞を認めた.このうち静脈側延長術3例,外科的血栓除去2例の合計5例は血流再開しアクセスとして使用可能であった.人工血管皮膚露出を1例に認めたが,感染症,血清腫,スティール症候群等の重大な合併症は認めなかった.遠隔調査は透析シャントとして使用可能であった94症例に対し行い91例(97%)が追跡可能であった.遠隔期のアクセス関連事象で最も多いものは狭窄や閉塞であり,人工血管感染を11例に認めた.また静脈高血圧症,人工血管露出をそれぞれ2例,スティール症候群を1例に認めた.血清腫は認めなかった.観察期間は最長4.3年,平均1.6年であった.シャントの二次開存率は1年94.3±2.8%,2年92.1±3.5%,3年89.4±4.3%と良好であった.【結論】ソラテック®を用いたコンポジットグラフト手技は,比較的初心者の術者でも施行可能な,有用な術式である.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ