カテーテル血栓溶解治療が奏功した急性腹部大動脈閉塞の1例

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  • A Case Report of Acute Abdominal Aortic Occlusion: Successful Treatment with Catheter-directed Thrombolysis

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抄録

要  旨:急性腹部大動脈閉塞は血管外科的緊急疾患の一つである.今回,カテーテル血栓溶解治療(C-DT)が奏功し救肢・救命できた症例を経験した.症例は69歳,男性で,突然の両下肢運動・知覚麻痺のため当院へ救急搬送された.神経原性緊急症を疑われて入院となり,翌朝血管外科紹介となった.CT血管造影で腹部大動脈末端部の閉塞を認めた.発症から12時間以上経過し,CPKも4667 IU/lと高値であることから,術後myonephropathic metabolic syndrome(MNMS)発症の危険が高いと考えられた.パルススプレー法によるC-DT治療を行い,両下肢の血流再開が得られた.術後CPKは 6656 IU/lと上昇し,腎機能の悪化を認めたが,MNMSの併発なく軽快した.C-DTは低圧での再灌流が期待できることなどから血管内皮損傷のリスクが少なく,再灌流障害の軽減に有利に作用したものと考えられた.

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