胸腹部大動脈人工血管置換術後20 年を経て発症した吻合部離断による仮性動脈瘤切迫破裂の1 例

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  • A Case of Successful Reoperation for False Aneurysm Long after Thoracoabdominal Aortic Graft Replacement

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抄録

要旨:症例は51 歳,男性.20 年前に当科で胸腹部大動脈瘤に対して,胸腹部大動脈人工血管置換術施行された.以後近医で経過観察されていた.しかし5 年前頃より,通院を自分の判断で中止していた.今回,腹痛のため近医受診し,CT 検査にて切迫破裂の疑いで当科紹介となった.当科では,人工血管置換術後吻合部多発仮性動脈瘤の切迫破裂と診断し,緊急手術を行った.手術は左開胸,左心バイパス下で施行した.所見は腹腔動脈・上腸間膜動脈とグラフトとの吻合部および腹部大動脈の末梢側吻合部に離断を認め,仮性瘤を形成していた.Gelweave®(Coselli graft 20 mm)を使用し,再置換術を行い手術を終了した.術後経過良好で,術後13日目軽快退院した.術後20 年を経て発症した吻合部仮性動脈瘤は極めて稀であり,破裂以前の診断は困難な症例が多く,手術成績は不良である.その治療戦略においてさまざまな工夫が必要とされる.文献的考察を含めて報告する.

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