わが国のペットショップにおける犬アデノウイルス1型の集団感染

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タイトル別名
  • An Outbreak of Canine Adenovirus Type 1 Infection at a Pet Shop in Japan

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抄録

2008年10月,わが国のペットショップにおいて5カ月齢の犬が肝臓と腹腔内に出血を呈し突然死した。その数日後,同居犬2頭が犬伝染性肝炎(ICH)を疑う症状を呈した。これら2頭から抗体検査とPCRにより犬アデノウイルス1型(CAV-1)感染が検出され,ICHと診断された。さらに,同居の無症状犬5頭中4頭からCAV-1感染が検出され,CAV-1感染が本ショップにすでに蔓延していることが示された。これらの成績はウイルス学的に検索できなかった死亡例がICHであったことを強く示唆するものである。なお,本ショップではワクチン接種や飼育環境など適切な予防対策が行われていなかった。以上のことはICHは近年わが国のペット犬では極めてまれであるが,今回の事例は適切な予防を怠れば発生リスクは決して低くないことを示すものである。さらに,感染例3頭について尿中CAV-1 DNAを追跡調査したところ,それぞれ観察開始後24,32,64週間目までDNAが検出され,このような持続感染例が感染源として重要な役目をはたしているものと思われた。

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参考文献 (25)*注記

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