卵円孔に捕捉された血栓を認めた肺塞栓の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of pulmonary embolism with thrombus trapped across foramen ovale

この論文をさがす

抄録

症例は29歳女性.肺塞栓のため入院.肥満とインターネットで個人輸入した経口避妊薬の服用が発症の危険因子であった.初日の心エコー図検査で右室圧負荷所見を認め,翌日の心エコー図検査にて右房から左房に繋がる蛇状の可動性ひも状エコーを認めた.第3病日に低酸素血症が増悪し,施行した経食道心エコー図検査では血栓は消失しており,右房拡大ならびに卵円孔開存,右‐左シャントを認めた.入院時,CTにより上下大静脈内に多量の血栓の存在が疑われたため外科的治療は行わず,抗凝固・血栓溶解療法を行った.肺塞栓による肺高血圧が小さな卵円孔開存を介する右‐左シャントをもたらし,右房内に流入した浮遊血栓が卵円孔に捕捉され,その後,肺動脈に新たな塞栓を来たしたと推測された.肺塞栓に卵円孔開存が合併した場合予後不良とされているが,本症例は幸いにも内科的治療が著効し,無事退院することが出来た. 肺塞栓における刻一刻と変化する血栓や血行動態を経胸壁心エコー図で繰り返し評価することは,より迅速な治療法選択や治療の効果判定に有用であると考えられた.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 34 (3), 349-354, 2007

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (34)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ