乳腺に再発した急性骨髄性白血病の2症例

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タイトル別名
  • Two rare cases of extramedullary relapse of acute myeloid leukemia in mammary gland

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抄録

急性骨髄性白血病(AML)の乳腺への髄外浸潤はまれである.今回我々は,AMLが乳腺に髄外再発した2症例を経験したので報告する.症例1は32歳女性.25歳時AMLと診断され化学療法により一旦寛解を得たが,再発を来たし同種骨髄移植を受け,再び寛解となった.31歳時,鼻腔に軟部腫瘤性病変が出現し生検によりAMLの髄外再発と診断された.同時期に左乳房腫瘤も指摘され,超音波検査にて乳房内下区に分葉状の低エコー腫瘤像を認めた.針生検にて白血病細胞の浸潤を認めた.化学療法後,乳房腫瘤は縮小し切除を行った.病理診断は白血病細胞の浸潤であった.また,骨髄検査では完全寛解であった.症例2は20歳男性.AMLと診断されたが,初診時より視触診にて女性化乳房を認めた.3回の寛解導入療法を施行したが寛解には至らず,同種骨髄移植を受けて寛解となった.その時点で女性化乳房は消失していた.AMLの寛解から半年後より徐々に増大する両側乳頭下の硬結を認め,超音波検査にて境界は比較的明瞭平滑であるが内部は低エコーで不均質な腫瘤像を認めた.カラードプラ法では内部に分岐した血流シグナルを認め,針生検を行った結果,白血病細胞の浸潤を認めた.また,同時期に施行された骨髄検査でも白血病細胞を認め,白血病の再発と診断された.造血器悪性腫瘍が背景にある患者に乳腺腫瘤を認めた場合には,髄外再発も念頭において検査を行う必要があると思われる.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 40 (3), 297-302, 2013

    公益社団法人 日本超音波医学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (19)*注記

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