悪性リンパ腫の寛解後に多発性骨髄腫を合併した1例

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タイトル別名
  • Multiple Myeloma in a Patient in Remission from Malignant Lymphoma.

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抄録

悪性リンパ腫寛解後に多発性骨髄腫を合併したまれな症例を経験した。症例は75歳男性。1986年2月に右頸部腫瘤を主訴に当院入院。同部の生検で,悪性リンパ腫(diffuse, large cell: LSG分類,免疫染色はpan B, lgG, κで陽性)と診断した。骨髄浸潤は認めず,形質細胞も0.2%であった。臨床病期IIAで,CHOP療法開始し,完全寛解に達した。1988年10月23日左足皮下腫瘍のため,再入院した。鼠蹊リンパ節腫張あり,生検施行したが,悪性リンパ腫の再発は認められなかった。免疫電気泳動で,lgA-κ typeのM蛋白を認め,骨髄穿刺を施行したところ,形質細胞が76.8%を占め,多発性骨髄腫と診断した。化学療法を開始し,1991年4月現在外来通院加療中であるが,リンパ腫の再発はみられていない。両悪性腫瘍の関連は不明であるが,3年間の間にBリンパ球由来の2種類の異なる悪性腫瘍を発症し,興味あるまれな症例と考えられる。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 33 (5), 671-676, 1992

    一般社団法人 日本血液学会

被引用文献 (1)*注記

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