書誌事項
- タイトル別名
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- Isospora Belli Infection in a Patient with Adult T-cell Leukemia
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抄録
イソスポーラ・ベリ感染を合併したATL症例を報告する。患者は65歳の男性で水様便を主訴とし,平成2年12月に当院に入院した。入院時現症では,リンパ節腫大,肝脾腫はなかった。白血球数5,500/μlで,10%が異常リンパ球であった。末梢血ATL細胞の表面マーカーはフローサイトメトリーによるtwo color analysisによりTac+, CD4+, CD8+を示した。抗HTLV-1抗体陽性,末梢血リンパ球のDNA解析でHTLV-1 proviral DNAのモノクローナルバンドが証明され,慢性型ATLと診断された。その後,イソスポーラ・ベリ感染が診断され,ST合剤の投与で下痢は消失した。現在まで本邦でイソスポーラ・ベリ感染を伴ったリンパ増殖性疾患の報告は,5例のATL症例を含めて9例である。これらの報告の内容を検討すると残りの4例もATLの可能性が強く,9例ともにATLであったと思われた。
収録刊行物
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- 臨床血液
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臨床血液 33 (5), 683-687, 1992
一般社団法人 日本血液学会