発作性寒冷血色素尿症との鑑別が困難であった寒冷凝集素症

書誌事項

タイトル別名
  • A cold agglutinin disease, difficult to distinguish from paroxysmal cold hemoglobinuria
  • 症例 発作性寒冷血色素尿症との識別が困難であった寒冷凝集素症
  • ショウレイ ホッサセイ カンレイ ケッシキソ ニョウショウ ト ノ シキベツ ガ コンナン デ アッタ カンレイ ギョウシュウソショウ

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抄録

58歳,男性。2002年1月に褐色尿出現し,同月の健康診断にて軽度の貧血およびLDH高値を指摘。再検時の末梢血球数測定の際,測定値が経時的に変動し不安定性を認めた。また,室温下(25°C)で試験管内溶血が観察されたため,精査目的にて当科受診。来院時Hb 11.2 g/dl, 網赤血球73.1‰ (233,000/μl), 間接ビリルビン2.8 mg/dl, LDH 757 U/lおよび尿中ヘモジデリン陽性より血管内溶血が示唆され,かつ,寒冷凝集素が1,024倍以上と上昇。直接・間接Coombs試験陽性,Donath-Landsteiner抗体は寒冷凝集素価高値のため,当初は偽陽性を示したが,その後,抗I自己抗体による寒冷凝集素症(CAD)と診断した。梅毒反応陰性,抗マイコプラズマ抗体陰性および各種ウイルス検索にて異常所見を認めず。寒冷暴露を避けることによって,血色素尿も認めず無症状で経過しているが,9カ月を経過した現在も寒冷凝集素価高値を持続している。自動血球測定器におけるデーターの不安定性を認めた際は,CADも念頭に入れて精査を進める必要性が示唆された。

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 44 (6), 375-380, 2003

    一般社団法人 日本血液学会

参考文献 (14)*注記

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